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うらゝかに楢の若葉もおひ交る松の林に松蝉の鳴く
青芒しげれるうへに若葉洩る日のほがらかに松蝉の鳴く
莢豆《さやまめ》の花さくみちの静けきに松蝉遠く松の木に鳴く
松蝉の松の木ぬれにとよもして袷ぬぐべき日も近づきぬ
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二十三日、外房航路船中
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安房の國や長き外浦の山なみに黄ばめるものは麥にしあるらし
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二十四日、清澄の八瀬尾の谷に炭燒を見に行く
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清澄のやまぢをくれば羊齒交り胡蝶花《しやが》の花さく杉のしげふに
樟の木の落葉を踏みてくだり行く谷にもしげく胡蝶花の花さく
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二十五日、清澄に來りてより毎夕必ず細く長く耳にしみて鳴く聲あり、人に聞くに蚯蚓なりといふ、世にいふ蚯蚓にもあらず、蚯蚓の鳴かぬは固よりなれど、唯之を蚯蚓の聲なりとして、打ち興ぜむに何の妨げかあらむと
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清澄の胡蝶花の花さく草村に夕さり毎に鳴く聲や何
虎杖のおどろがしたに探れども聲鳴きやまず土ごもれかも
山桑を求むる人の谷を出でかへる夕に鳴く
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