に蒲公英の霜にさやらひくきたゝず咲く

此あしたおく霜白き桑はたの蓬がなかにあさる鳥何

をちかたの林もおほに冬の田に霞わたれり霜いたくふりて

    變體の歌
       一
炭竈を、庭に築き、二つ築き、たえず燒く。厩戸の枇杷がもと、掻き掃きて炭を出す、雨降れど、雪降れど、菰きせて、濡らしもせず。眞垣なる、棕櫚がもと、眞木を積む、※[#「鹿/(鹿+鹿)」、第3水準1−94−76]朶を積む、楢の木、櫟の木、そね、どろぶの木、くさぐさの、雜木も積むと、いちじくの、冬木の枝は、押し撓めて見えず。
       二
炭出すや、匍匐ひ入る、闇き炭がま、鼻のうれ、膝がしら、えたへず、熱き竈は、布子きて入る、布子きて入る、熱きかま、いや熱きは、汗も出でず、稍熱きかまぞ、汗は流る、眼にも口にも、拭へども、汗ながる/\。
       三
萱刈りて、篠刈りて、編むで作る、炭俵、炭をつめて、繩もて括る、眞木ゆひし、繩を解きて、一括り、二括り、三括りに括る、大き俵、小さ俵、左から見、右から見、置いて見つ、積むで見つ、よろしき炭、また燒いて、復た燒き燒く。
       四
炭がまに、立つけぶり、陶物の
前へ 次へ
全83ページ中29ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
長塚 節 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング