り山々は紅葉かつらぎむかへまつらふ
山にゐる毛ものも海のひれものも秋にしあればみけのまに/\
みとまりの宮居の上に紫の豊旗雲はたなびきわたる
即興
庭のなかにあさる雀のたま/\に縁にのぼりて疊にあがりぬ
縁の上にのぼる雀の縁こえてたゝみに移り敷居にとまりぬ
障子あけて晴をよろこぶ家の中にすゞめ來りぬひとつ來りぬ
鳥籠にとりはあれども家に入るすゞめうれしみ米をまきけり
家に入るすゞめのために米播けばすゞめとび立ち遂に來らず
縁の上にたゝみの上に散りてある米をすゞめの啄くよろしも
庭にまかば雀よるべし家に入るすゞめ珍らしみ家に米を蒔く
家の中にこめをくひに來やよ雀汝が舌切らん我にあらなくに
縁の上にたゝみの上に米まきてゆふべになれど雀また來ず
雀にとたゝみの上にまきおきしこめ掃寄せて庭におとしつ
橋
川口のゆるき流れにかけわたす橋長うして海見えわたる
山川の早き流れにそば立てる大岩かけて二橋わたす
即景
畑の中を庵へかよふ道のへの桑のめぐりに芋を植ゑたり
畑の上を風のわたれば芋の葉のゆら/\ゆれていそがしきかも
樫の木のなみた
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