きのふ新宮より七里の松原を海に添ひて木《き》の下《もと》まで行かむと日くれぬれば花の窟といふところのほとりにやどりて、つとめておきいでゝ窟を拜む、とほくよりきたれる山の脚のにはかにこゝにたえたるさまにて、岩の峙ちたるに潮のよせきて穿ちけむと思はるゝ穴のところ/″\にあきたるめづらかなり、沖は※[#「さんずい+和」、第4水準2−78−64]ぎたれば磯うつ浪もゆるやかなるを、窟にひゞくおとのとゞろ/\と鳴るさま凄まじきばかりなるに、あれたらむほどのこと思ひやらる、伊弉册神をこゝにはふりまつりけるよしいひつたへて、昔より蜑どもの花をさゝげてはいつきまつりけるところと聞きて
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鯖釣りに沖こぐ蜑もかしこみと花たむけしゆ負へるこの名か
眞熊野の浦囘にさける筐《はこ》柳われもたむけむ花の窟に
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熊野より船にて志摩へかへると、夜はふねに寢てあけがたに鳥羽の港につきてそこより伊勢の海を三河の伊良胡が崎にいたる
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三河の伊良胡が崎はあまが住む庭のまなごに松の葉ぞ散る
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十六日、つとめて伊良胡が崎をめぐりて
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