弓矢は細矢にて(同)

かしこきやすめらみことにありながらありとふ妹が家も知らなく(小督)

かしこきやすめらみことにありながら朝な夕なに妹を戀ふらく(同)

人の臣のかしこきかもよ人の君を板屋の中にこめたてまつる(法皇幽屏)

君故にさかえし我よわがために衰へたりし君をかなしむ(佛)

    六月第二會

     神

木の實はみ木の根とりくひいきながら空に昇りて神とならんかも

こち村とさき村のあはひしみたてる森に祭れるうぶすなの神

   報東々幾數

時鳥竹やぶ多き里過ぎて麥のはたけの月に鳴くなり

    七月短歌會

日の本のますらたけをのをたけびに仇の砦は逃げて人もなし

躬恒等の歌をよろこぶ歌人は蛙となりて土にはらばへ

    七月第二會

     盂蘭盆會

み佛にさゝげまつりし蓮の葉も瓜も茄子も川に流しぬ

    納涼

蓮の葉にわたる夕風すゞしけば池のほとりに人つどひけり

河近み河風家に吹き入りて蚊遣の煙かたなびきすも

川風の吹きのまに/\羅の妹が衣の裾ひるがへる

彼方の森に入日の光きえ涼しき風の川下ゆ吹く

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六月廿日再び左
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