木の木の芽を摘むと村人の通はぬ藪に我入りにけり
刺生えて枝も無き木のたらの木は鳥とまらねば鳥とまらずといふ
竹やぶにたま/\生ふるたらの木の刺ある木の芽折りて贈りぬ
芝居
をかしといふ猿の芝居を見に行けば顔に手をあて猿が泣きけり
むしろ掛けし芝居の小屋は雨漏りて雨のふる日は芝居やすみぬ
三人根岸草廬に會し庭前の風といふ題にて
襟を吹くすゞしき風に庭の面の萩の若葉はこなたなびきぬ
垣の外の椎を吹く風垣の内の萩をなびかし此家に入る
隣家に碁をうつ音の聞えきて竹の末葉に風わたる見ゆ
垣の上の梅の木末をゆるがしてすゞしき風のふところに入る
梅の木の木末ゆらゝに風吹けど松のみどりは動かざりけり
百草の千草の中にむらおふる萩の若葉に風吹きわたる
風吹けば萩の若葉の右になびき左になびきあひてまたはなる
眞萩はも風多き草か日を一日なびきかたよりいとまもあらず
讀平家物語 附聽平家琵琶
野に山にたらひわたれるものゝふのをたけびなして水鳥たちぬ(富士川)
綱とると尻毛手握りむちうてば後の方へ馬馳せいだす(同)
逃げ去りしいくさの跡に亂れたる弓は弱
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