の永日を。いそばひに蓬は摘むと。よもぎ苗あかずつますと。小鍬とり打つやあら埴の。さくろにな日にはてらえそ。蓬摘む子ら。
       ○
しら/\し白けたる夜の。李ちる朧月夜を。穴こもるたはれ狐か。荊づらすく/\と出て。うまいする兄彦が家の。廚なる鍋とり持ち來。柿の木の枝にそを掛け。そねの木の枝にそを掛け。よひ/\にたはれすらくを。小竹撓めて罠かけ待てど。さやらねば兄彦思ほえ。その狐手捕にせむと。荊分け鋤とりい行き。腰惱むおどろが下に。くたれ木の木の根堀り來つ。狐え捕らず。
       ○
小墾田をかへでの枝の。赤芽吹く春日のどけみ。いめのわたうつらうつらに。肱付きにまろねをすれば。爪引くや弓絃のひゞき。ひゞくなす諸羽振らばひ。虻のとぶかも。

[#ここから6字下げ]
三月二十四日風雪を冒してとほく多珂郡に行く乃ちよめる歌并短歌
[#ここで字下げ終わり]

物部の真弓の山の。尾の上には人さはに据ゑ。谷邊には人さはに据ゑ。巖根裂く音のみ聞きし。諏訪村の梅さきけりと。とほ人の吾に告らせば。燃ゆる火の焔なす心。包めども包みもかねて。をとつ日の雨降る日の。きその日の雪降る日の。今日までにけな
前へ 次へ
全73ページ中25ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
長塚 節 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング