木垂り木根立ちしかさは見えず
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利根川の葦原を過ぎて鬚うすき人を思ひよせて戯れたる歌五首
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葦杙は燒けばさは萌ゆ葦の如萌ゆらむものぞ燒かせその鬚
刈杙の杙の燒生に燒けのこる葦の古穗にさね似たる鬚
春風はい吹き渡れどうすき鬚葦にあらねば萌えぬその鬚
燒杙の灰掻き持ちてこり塗らば蓋しか萌えむそのうすき鬚
燒杙の灰こり塗らば正髯と人かも見らむ本あら小髯
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消息のはしにかき付けて人々の許へやりたる中に本所へ
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葛飾の梅咲く春を見に行かむたどきも知らず一人こもり居
木下川の梅の林に撓細の吾見し少女忘れかねつも
吾宿は人の來ぬ宿人はくれど梅見に來つと人の來ぬ宿
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筑波のふもとへ
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さ蕨の萌え出づる春に二たびもい行かむ山の筑波しうるはし
さ蕨の人來人來とさし招く春にし逢はゞたぬしけまくも
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おちつばき
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○
刈杙の杙の燒生の。蘆かびにせくや水泡の。足白の手白の子ら。繭むすぶ糸
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