佐渡が島
長塚節
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)要《い》らん
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)ぬれた儘|強《こは》ばつて
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「王+攵」、第3水準1−87−88]瑰《はまなす》の
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例))しと/\ゝ
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−
一 濱茄子の花
佐渡は今日で三日共雨である。小木の港への街道は眞野の入江を右に見て磯について南へ走る。疎らな松林を出たりはひつたりして幾つかの漁村を過ぎてしと/\ゝ沾れて行く。眞野の入江は硝子板に息を吹つ掛けた樣にぼんやりと曇つて居る。其平らな入江の沖には暗礁でもあるものと見えて土手のやうに眞白な波の立つて居る所がある。遠くのことであるから只眞白に見えて居る丈でちつとも動く樣には見えぬ。此入江を抱へた臺が鼻の岬が遙かに南へ突出して霧の如く淡く見えて居る。沖の白い波が遠ざ
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