とに取直すと錘はまた忽ちに振り廻はされるのであつたが、やつと打ち下ろした錘は神代鎌のさきへ一寸とかゝつたかと思ふと、繩をぐる/\とからみはじめる、鎌の方でも同じくぐる/\とめぐして解かうとする、暫は雙方ぐる/\とめぐし合つて居たが遂に二尺餘の麻繩はしつかと卷き付いてしまつた、もうどうしても離れるのではない、神戸は相手に近寄つたかと思ふと腰に挾んだ木劍を拔いてポカ/\と二つ三つ頭を叩いた、かくの如くしてこの妙な武器と武器との仕合は神戸なにがしの勝つ所となつて白方は金將の役である壯士が出た、神戸の得物は變つた、行司は説明を試みた、
「これは南蠻鐵の割棒と唱へてこれを收めておけば唯の棒でありますが、つまり丸い棒を二つに裂いてそれを合せたもので眞中一ヶ所で止めてありますから自由自在にめぐるものでありますが、柔術の極意から出たものだ相であります、これを以て敵を挾んで睾[#「睾」は底本では「※[#「繹−糸」、第4水準2−82−7]」]丸を蹴り、また片々を立てゝ置きまして片々を以て向ふが飛び込む所同じく睾[#「睾」は底本では「※[#「繹−糸」、第4水準2−82−7]」]丸を突き上げるといふ恐ろしい棒
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