のどくなのはクレルヴァルで、どんな思いがしたことやら。あれほど喜んで待っていた会合が、へんなぐあいに、こういうひどいことになったのだ。といって、その悲しみを、私はこの眼で見たわけではない。というのは、私は死んだも同然になって、長いあいだ正気にかえらなかったからだ。
 これが神経的熱病の始まりで、それから数箇月も私は寝込んでしまった。そのあいだ、ずっと、アンリがひとりで介抱してくれた。あとになって知ったことだが、私の父が年とっていて長途の旅に適さないことや、私が病気だと聞いてエリザベートがどんなにかみじめな思いをすることを考え、病気がこれほどだということを、隠して悲しませないようにしておいたのだ。アンリは、自分ほど親切で気のつく看護者がありえないことを知っていて、恢復するみこみのあることを固く信じ、国もとの人たちのためにもこういう親切を尽したわけだ。
 しかし、実際には、私の病気は重くて、この友だちの根気の要る限りもない心尽しがなければ、とうの昔に死んでいたことはたしかだ。自分が存在を与えた怪物の姿がいつも眼の前にあるので、私はひっきりなしにそいつのことでうわごとを言った。疑いもなく、私
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