部門を特にもっと勉強することに決めた。ほとんど超自然的な熱情によって鼓舞されていなかったならば、この研究に身を入れることは、うんざりするような、ほとんど堪えがたいものであったにちがいない。生命の原因を検討するには、まず死に頼らなければならない。私は解剖学に親しむにいたったが これは十分でなかったので、人体の自然衰頽と腐敗をも観察しなければならないことになった。父は私の教育に際して、私に超自然的な恐怖を感じさせないようにできるかぎりの注意を払ってきた。だから、私はいまだに、迷信的な話に慄えたり幽霊の出現を怖れたりしたおぼえはない。暗やみも私の空想に影響せず、墓場なども、私には、その生命が美と力の器から蛆の食物になってしまった肉体の置き場だ、というだけのことだけだった。その私が今、こういう腐敗の原因と過程を調べることになって、穴ぐらや納骨所のなかで日夜をすごすことを余儀なくされたのだ。私の注意は、人間感情の繊細さにとってもっとも堪えがたいあらゆるものに惹きつけられた。人間の美しい形がどんなふうに衰え萎れて崩れるかを私は見た。生の花やかな頬を襲う死の腐敗を見た。眼と脳髄のすばらしさを蛆虫の類
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