「とはいえ、この仕事を果すためにお国やお友だちを棄てることはお願いできません。しかも、イギリスへお戻りになるとすれば、あいつに出会う機会もなくなります。しかし、こういう点を考慮することと、あなたが義務だとお取りになることをよく考え合せることは、あなたにお任せします。私の分別なり考えなりは、もはや死が近くなったために乱れています。私は、正しいと思うことをしてくれとお願いする気はありません。私はまだ情熱のために誤っているのかもしれませんからね。
「あいつが生さていて、災害を振り撒いているとおもうと、私の気もちは乱れます。そういうことを別にすれば、今にも楽になれるかと待ちかまえているこの時が、この数年ずつと味わったことのない唯一の幸福な時です。亡くなった人々の姿が眼の前にちらつき、私はその姿に向って急いでいるのです。さようなら、ウォルトンさん! 平穏無事のなかに幸福を求め、野心はお避けなさい、たといそれが、科学や発見で功を立てようという見たところ無邪気な野心でしかないとしても。だけど、なぜ、こんなことを言うのでしょう? 自分こそこういう希望にやぶれましたが、ほかの人なら、成功するかもしれ
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