ないのに。」
そう話しながらも声がだんだん弱くなり、とうとう力尽きて黙りこんでしまいました。それから三十分ほど経ってからまた言いだそうとしましたが、何も言えず、僕の手を力弱く握って、眼を永久に閉じ、やさしい微笑の光も唇から消え去りました。
マーガレット、この赫々たる精神の時ならぬ消滅をなんと言ったらよいでしょう。僕の悲しみの深さを理解していただくためには、どう申しあげたらよいでしょう。僕の言い表わすことはみな、不十分で弱いのです。涙が流れ、失望の雲で心が暗くなります。しかし、私はイギリスを指して進んでいるのですから、帰れば慰めが得られるでしょう。
邪魔が入って書けなくなりました。あの音はなんでしょう? 今は真夜中で、風も追い風ですし、甲板の見張りも動きません。人間の声のような、ただもっと嗄れた音がまた起りましたが、それは、フランケンシュタインの死体の置いてある船室から聞えてくるのです。行って調べなくてはなりません。おやすみなさい、姉さん。
ああ、なんたることだ! どんな場面が現出したと思いますか。今でもそれを憶い出すと眩暈がします。それを詳しく申しあげる力があるかどうかわかりま
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