ど、病気が悪化してすっかり床についたきりの不運な客人に、附き添っていました。氷が僕らのうしろで割れ、僕らはむりやりに北方へ押しやられましたが、西から風が出て、十一日には南への航路が完全に自由になりました。水夫たちはこれを見て、どうやら確実に故国に帰れるようになったので、騒々しい喜びの声をあげ、大声でいつまでもがやがやしていました。すると、眠っていたフランケンシュタインが眼をさまして、どうしてあんなに騒ぐのかと尋ねました。私は言いました、「まもなくイギリスへ帰るというので、わいわい言っているのですよ。」
「では、あなたはほんとうに帰りますか。」
「ええ、そうです、哀しいことですが。あの連中の要求には逆らえません。いやなものを、むりやり危険なところへ引っぱって行くわけにはいきませんからね。ですから、僕も帰るほかはありません。」
「そういうことなら、そうなさいませんか。けれど、私は帰りません。あなたは目的をお棄てになるかもしれませんが、私の目的は天からきめられたもので。棄てる気にはなれないのです。私は弱っていますが、僕の復讐を助けてくれる精霊たちが、きっと十分な力を与えてくれます。」こう言っ
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