ろう。日中も私は、夜の希望に支えられ元気づけられた。眠ると、身うちの者や妻や愛する母国が見えたからだ。また、父の慈悲ぶかい顔が見え、エリザベートの声の銀のような音調が聞え、健康と青春を享楽するクレルヴァルの姿が現われた。ほねのおれる歩行に疲れると、私はよく、夜になるまでは夢をみていて、夜になったらなつかしい人たちをほんとうに抱くのだ、と自分に言いきかせた。この人たちに対して、私はなんという苦しい愛着を感じたことだろう! ときには私が歩いているさいちゅうにさえこの人たちが附きまとって、まだ生きていると思いこませたので、どれほど私は、そのなつかしい姿にすがりついたことだろう! そういう瞬間には、私の内部に燃えていた復讐の念が、胸のなかで消え、自分の魂の已みがたい願望としてよりも、天から言いつけられた仕事として、つまり自分にはわからぬ何かの力の機械的衝動として、悪魔退治に向って自分の道を辿るのであった。
 自分の追跡している者の気もちがどんなものであったか、私にはわからない。ときには、まったくのところ、やつは、木の皮に書き石に刻んで目じるしを残し、そうすることで、私に道を教えたり、私の怒りを
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