せんからね。だけど、自分で悪いことだとは認めても、白状しますが、それが僕の魂の渇望、そのたった一つの情熱なのです。僕が世の中に追い放った殺戮者がまだ生きていると思うと、僕の怒りは言語に絶するのだ。あなたは僕の正当な要求を拒みましたが、僕の取る手段はたった一つしかありません。生きるか死ぬかで、あいつをやっつけることに身を捧げるのです。」
 こういいながら私は、興奮のあまりぶるぶる慄えた。そこには、狂乱の風と、どうやら、昔の殉教者たちがもっていたといわれるあの尊大な荒々しさがあった。献身や英雄主義の観念とはまるで違った観念を心に抱いているジュネーヴの知事には、こういう心の高揚は、よほど気ちがいじみて見えるのであった。子守りが子どもをあやすように知事はしきりに私を宥めようとし、話を前にもどして、あなたが言ったようなことは錯乱状態の結果だ、と言うのであった。
「なんだと、」と私は叫んだ、「あなたは賢いのを自慢にしているが、なんて無知なのだ! おやめなさい。言っていることがどんなことかこぞんじないのだ。」
 私は、腹立ちまぎれにいきなりその家を跳び出し、自分の家に帰ってほかに取るべき行動を考えた
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