24[#「24」は縦中横] 極地への追跡


 こういう情況では、私の自発的な考えは、ことごとく形をひそめ、失くなってしまった。私は怒りに駆り立てられ、復讐だけが私に力とおちつきを与えた。さもなければ、錯乱状態か死に陥ったにちがいない時にも、この復讐が感情の鋳型になり、いろいろものを考えて平静にしていられるようにするのであった。
 まず最初に決めたことは、永久にジュネーヴを立ち去ることであった。自分が幸福で愛されていた時には、私にとってなつかしかった祖国が、自分が逆境に陥ってみると、憎らしいものになったのだ。私は、母のものであった少しばかりの宝石と何がしかの金を身につけて出発した。
 こうして今や、死ぬ時にはじめて終るはずの私の放浪が始まった。私は、地上を広く歩きまわり、旅人が無人境や蛮地で出会うすべての辛苦に堪えた。自分がどうして生きてきたか、私は知らない。幾度となく私は、弱りきった手足を砂原に投げ出し、死を求めて祈った。しかし、復讐の念が私を生かしておいてくれたので、自分が死んで敵を生さながらえさせる気にはなれなかった。
 ジュネーヴを去ってます最初にやることは、
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