、話をつづけるうちに、だんだん注意し、関心をもつようになって、ときには恐怖に身慄いし、またときには、少しも疑いをさしはさまぬ驚きがその顔にまざまざと描かれるのを、私は見た。
話が終ってから私は言った、「僕が告発するのは、そいつなのです。そいつを逮捕して処罰するために、ひとつ全力を尽してくださるようにお願いします。それは知事としてのあなたの義務ですし、人間としてのあなたのお気もちも、このばあい、そういう職責をはたすことをお厭いにならないだろうと、私は思ってもいますし、またおもいたいのです。」
このことばに、聴いていた知事の顔色が、かなり変った。知事は、精霊や超自然的事件の話を聞いた時のように、半信半疑で話を聞いていたのだが、その結果として公的に行動することを求められると、頭から信じられないという態度にもどった。けれども知事は、穏かに答えるのであった、「あなたが追跡するばあいには、喜んでどんな援助でもしますが、お話しになったその生きものは、わたしの努力などはものともしない力をもっているようですね。氷の海をよこぎったり、人間のとても入りこめない洞窟や獣の巣窟に住むことのできる動物を、誰が
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