も変らぬ真実な友情をもちつづけ、友人がこういう不運な境涯に陥って所在をくらましたことを深く悲しんだ。この友人が誤まった矜持から、二人を結びつけた愛情にふさわしくないような行動に奔ったことをひどく歎いた。そこで、自分の信用と援助の力でふたたび世に出るように説きつけたい、という望みをもって、時を移さず捜しにかかった。
 ボーフォールはうまく身を匿していたので、その居所をつきとめるには十箇月もかかった。それがやっとわかったので、すっかり喜んだ父は、ロイス河の近くのきたない街にあるその友人の家へ駆けつけた。しかし、その家に入ったときに父を迎えたのは悲惨と絶望だけであった。ボーフォールは、破滅した運命のあとにごく些細な金の残りを握っていただけであったが、それでもどうやら数箇月は支えられるつもりだったので、そのうちにどこか商館に相当の勤め口が見つかるだろうという目あてがあった。そういうわけで、そのあいだは無為に過ごし、だが、ものを考えるひまができると、悲しみが深まって苦しくなるばかりで、ついにはひっきりなしに襲いかかるその悲歎のために、三箇月の終りには病床に就いて、もうどんな仕事もできなくなった。
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