ボーフォールの娘は、このうえもなく手厚く看護はしたものの、わずかばかりの持ち金がたちまち減っていって、ほかには何ひとつ支えになるものがないのを、絶望の眼で見ていなければならなかった。しかし、キャロリーヌ・ボーフォールは、そのへんには見られぬ心の持ちぬしで、けなげにも逆境を支えて立ちあがった。こうして、たやすい仕事をひきうけることにし、麦わらを編んだりなど、いろいろ手を尽して、辛うじて食いつないでいけるだけの小銭を、どうにかこうにか稼ぎだす工夫をした。
 こんなふうにして数箇月は過ぎた。キャロリーヌの父はますます悪くなり、時間がいよいよ看病だけに取られて、糊口の道はすっかり逼迫してきた。そして、十筒月ばかり経って父親が娘に抱えられて死んでしまい、娘は乞食になるしか道のない孤児としてあとに残された。そして、この最後の一撃に打ちのめされ、父親ボーフォールの棺のそばに跪いてさめざめと泣いていたが、そのとき私の父が室内に入っていった。父はこのきのどくな少女のところへ守護霊のようにやって行って、めんどうをみてやることにし、友人の埋葬を済ませてから、その娘をジュネーヴに伴れて行き、それをある親類
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