不幸を嘲笑しにやって来て、やつの鬼畜のような願望に私を同意させるための新しい刺戟として、クレルヴァルが死んだと言って私を罵るのだということが、たちまち私の頭に浮んだ。私は手で眼を掩って悶えながら叫んだ。――
「おお! そいつを追いはらってください! 僕は会うわけにいかないんだ。後生だから中に入れないでください!」
 カーウィン氏は困った顔をして私を眺めた。氏は、私がわめきたてるので、どうやら有罪かもしれないと見ないわけにいかなくなって、どちらかといえば厳しい語調で言った。――
「君のお父さんが見えたとしたら、そんなひどい反感を見せないで、歓迎するにちがいないと、わたしは思うがね。」
「父ですって!」と私は叫んだが、苦悶が歓びに代ってそのために顔の造作も筋肉も弛んだ。「父がほんとに参りましたか。それはそれは御親切に! だけど、どこにいるんです、どうして急いで来ないのでしょう。」
 私の態度が変ったので、知事は驚きもし喜びもした。知事は、私がさっき喚きたてたのは、精神錯乱の一時的再発だったと考えたらしく、またすぐ以前の思いやりのある態度に変った。そして、起ちあがって附添人といっしょに出てい
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