ったが、入れかわりに父が入ってきた。
 このとき、父が来てくれたほど嬉しいことはなかった。そこで私は、手をさしのべて叫んだ、――
「それじゃ御無事でしたね、――エリザベートは――それからエルネストは?」
 父はみんな達者だといって私をおちつかせ、私の関心をもっていることを詳しく話して、私のげっそりした気分を引き立てて元気にしようとしたが、まもなく監獄というものに楽しく住めるわけがないと感じた。「おまえの住んでいる所は、まあなんとしたものだ!」と言って父は悲しげに、格子のはまった窓や部屋のあさましい様子を眺めた。「おまえは幸福を求める旅に出たのに、運命がおまえを追いまわしていると見えるね。それにしても、きのどくなクレルヴァルは――」
 運わるく殺された友人の名は、この弱りきった状態では、なかなか堪えられない刺戟であった。私は涙を流した。
「ああ! そうなんです、お父さん。何かしらひどく怖ろしい宿命が僕に迫っていて、それが終るまで僕は生きなくちゃならないのです。でなかったら、僕はきっとアンリの棺の上で死んでしまったはずですよ。」
 私たちは長く話しこむことを許されなかった。私の健康状態がま
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