て、海岸を歩いたが、海はほとんど私と人間仲間とのあいだの越えがたい障壁に見えた。いや、事実そういうことになってほしいものだと思った。なるほど退屈ではあるが、突然に不幸の打撃を蒙ることもなく、この不毛の岩の上で一生を過ごしたかった。もし帰るとすれば、自分が犠牲になるか、私のもっとも愛する者が私自身のつくった悪鬼につかまれて死ぬのを見るか、どちらかになるのであった。
 私は、愛するすべての者から離れた、そしてその離れていることでみじめな思いをしている、おちつきのない幽霊のように、島を歩きまわった。正午になり、陽が高く昇ると、草の上に寝て、深い眠りに陥った。前夜、一睡もしていなかったので、神経が昂ぶり、眼が徹夜と苦悩のために充血したのだ。しかし、ぐっすり眠って元気が恢復したので、眼がさめると、やっと自分が、自分と同じ人間に属しているという気になり、ずっとおちついて今までのことを考えはじめたが、それでもまだ、悪鬼のことばが葬いの鐘のように耳のなかに鳴りひびき、それが、夢のようてもありながら、しかも現実として明白な、重たくのしかかるものに思われた。
 太陽がずっと低くなったので、私は浜に坐りこみ
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