『いいえ、フランス人なのです。けれども、話題を変えましょう。わたしは、不しあわせな、見棄てられた者です。どこを見ても、この世には親戚も友人もありません。わたしが目あてにしでいる親切な方々は、わたしを見たことはありませんし、わたしのことはごぞんじないのです。わたしは心配でたまりません。というのは、もしもそこでしくじったとしたら、永久にこの世の追放者になってしまうのですよ。』
「『絶望しなさるな。友だちがないのは、なるほど不運なことですが、人間の心は、明白な利己心に捉われないときは、兄弟のような愛情や慈悲に満ちているものですよ。ですから、希望をつなぐことですね。しかも、その人たちが善良でやさしいのだとしたら、何も絶望なさることはありませんよ。』
「『親切な方々なのです――この世でいちばんりっぱな方々です。ただ、あいにく、わたしに対して偏見をもっているのです。わたしは善良なたちでして、今まで悪事をはたらかず暮してまいりましたし、いくらか人のやくにもたちましたが、致命的な偏見のためにこの人たちの眼が曇って、わたしを思いやりのある親切な友人と見てよいところを、まるで蛇蝎視するだけなのです。』

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