ムの状態は、そのほかのどの点でも、わたしのばあいとはずいぶん違っていた。アダムは、神さまの手から完全な被造物として出てきたもの、創造者の特別な心づかいに護られた幸福で有望なものであって、性質のすぐれた者と話をし、そういうものから知識を得ることを許されていたが、わたしときたら、まったくみじめで、頼りなく、ひとりぼっちであった。わたしは何度も、魔王サタンを自分の状態にずっとぴったりした象徴だと考えた。というのは、サタンと同じように、よく、家の人たちの幸福を見ると、にがにがしい嫉み心がむらむらと湧きあがってきたからだ。
「もう一つ、別の事情が、こういう感情を強め、ゆるぎないものにした。この小屋に着いてからまもなく、あなたの実験室から持ってきた服のポケットに、何か書類の入っているのを見つけたのだ。はじめのうちはそれをほったらかしておいたが、さて、そこに書いてある文字を判読できるようになると、精を出してそれを研究しはじめた。それは、わたしというものが創造されるまでの四箇月間に、あなたがつけた日記だった。この書類には仕事の進捗のあらゆる段階をこまかに書きつけてあったが、そのなかには、家庭的な出来事
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