歓びと苦しみだけの関係においてではあったが、そこにあることばの意味を解したかぎり、美徳に対するたいへんな熱情と悪徳に対する嫌悪感が自分のなかに湧きあがるのを、わたしは感じた。こういう感情に動かされて、わたしはもちろん、ロムルスやテセウスよりは、ヌマ、ソロン、リュクルゴスというような平和な立法者に感服させられた。家の人たちの家長を中心とする生活が、こういう印象を頭にこびりつかせていたのだが、もしも、わたしの人間性に対する最初の開眼が若い兵士などによってなされ、栄誉と殺戮のために心を燃え立たせるとしたら、わたしは違った感情に染まっていたことだろう。
「しかし、『失楽園』は、それとはまた違ったずっと深い感動を与えた。わたしは、手に入ったほかの書物を読んだのと同じように、それをほんとうの歴史として読んだ。それは、自分の違ったものと戦う万能の神の姿を仰いだ時のような、あらゆる驚異と畏怖の感情をひきおこした。それがあまり似ているのに気づいたので、わたしはよく、いろいろな境遇を自分にひきあててみた。わたしは明らかに、アダムと同じように、生きているほかのどんな人間とも結びつけられてはいなかったが、アダ
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