いったい、どういうことだ? わたしは何者だ? どこから来たのだ? 行き先はどこだろう? こういった疑問がしじゅう起きてきたが、それを解くことはできなかった。
「わたしのもっていた『プルタルコス人物伝』には、古代のいろいろな共和国の最初の建国者の物語があった。この書物は、『ヴェルテルの悲しみ』とはずいぶん違った影響をわたしに与えた。ヴェルテルの想像からは、失意と憂愁を学んだが、プルタルコスは高い思想を教え、ふりかえって見る自分のみじめな境遇からわたしを高めて、古い時代の英雄たちを崇拝させ敬愛させた。わたしの読んだ多くのことがらは、自分の理解や経験を超えていた。わたしは、王国、土地の広大なひろがり、大きな河、はてしのない海などについて、ひどく混乱した知識を得た。しかし、都会や人間のおおぜい集まっているところはまったく知らなかった。わたしの保護者たちの家が人間研究のたった一つの学校であったわけだが、プルタルコスのこの書物は、新しくてずっと大きな行動の場面をくりひろげてくれた。国事に携わって同族を統治したり虐殺したりする人間のことを、わたしは読んだ。自分の身に引きくらべてみたところでは、いわは
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