てあるやさしい家庭的な習慣は、自己以外のものを目的とする高潔な情操や感情と結びつき、家の人たちのあいだで得たわたしの経験や、自分の胸のなかにたえず生きていた欲求とも、よく一致していた。しかし、ヴェルテルそのものは、かつて見たり想像したりしたよりずっとすばらしい人間で、その性格はなんらの衒《てら》いもなく深く沈潜している、と考えられた。死と自殺についての考察は、わたしをすっかり驚嘆させた。わたしはこの立場のよしあしに立ち入るつもりはないが、それでもわたしは、主人公の意見のほうに傾き、何ゆえかはっきりはわからなかったが、その死に涙した。
「けれども、書物を読みながらわたしは、自分の感情や境遇に、個人的にいろいろ当てはめてみた。すろと、それについて読みもしその会話を聞きもした人々と、自分が似てはいるが、同時に妙に違ってもいることがわかった。わたしは、その人々と同感したし、かなり理解もしたが、わたしは精神的にできあがっておらず、頼るものとてもなく、縁つづきの者もなかった。『生きようが死のうが勝手だった』し、死んでも誰ひとり歎いてはくれなかった。わたしの体は醜悪だったし、背丈は巨大だった。これは
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