名誉のように見えたし、ものの本にたくさん出てくるように、下劣で悪徳にみちていることは、いちばん下等な堕落、つまり盲のもぐらや毒にも薬にもならない蛆虫にも劣る卑しい状態のようにおもわれた。人がその仲間をどうして殺しに行くようになるのかということが、いや、それどころか法律や政府がなぜあるのかということが、長いことわたしにはわからなかったのだ。けれども、悪事や流血のことを詳しく聞くにおよんで、もう驚かず、嫌悪感に胸がむかむかしてわきを向いた。
「この百姓家の人たちの話は、こうして、今やみな、新しい驚異を呼びおこした。フェリクスがアラビア人に教えることを聞いていると、人間社会のへんてこなしくみがわたしにもわかった。財産の分配のこと、巨万の富やあさましい貧乏のこと、身分、家柄、高貴な血統のことなどを、わたしは聞いた。
「こういうことばを聞いて、わたしは、自分をふりかえってみた。わたしは、人間のいちばん貴ぶ所有物が、富と結びついた高い混り気のない家柄だということを聞いた。そういった利点のうち一つだけをもっていても、人は尊敬されるにちがいないが、どちらももたないとすれば、ごくまれなばあいを除いて、無
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