なかったにちがいない。フェリクスの言うところでは、朗読に適するこの文体が、東方の著者たちにまねて作られたものであるから、この書物を選んだ、ということであった。この著作を通じて、わたしは、歴史のあらましの知識と、世界に現存するいくつかの帝国の概観を得、地上のそれぞれに違った諸民族の慣習、統治、宗教等を知ることができた。わたしは、怠惰なアジア人のこと、ギリシア人のすばらしい天才や精神的活動のこと、初期ローマ人の戦争や驚歎すべき徳行――その後の堕落――のことを、その大帝国の没落のこと、騎士道、キリスト教、王などのことを聞いた。アメリカ半球の発見のことも聞き、サフィーといっしょにその原住民の不幸な運命に泣きもした。
「こういう驚くべき話を聞いて、わたしはへんな気がした。人間はほんとうに、こんなに力強く、こんなに徳があって堂々としていながら、しかも同時にこんなに悪徳の卑劣なものであろうか。人間は、ある時には、悪のかたまりの子孫でしかないように見え、またあるときは、高貴なもの、神のようなものについておよそ考えられろかぎりの存在のように見えた。偉大で有徳な人になることは、心あるものに与えられる最高の
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