をした。数時間がこうして経ち、そのあいだ、みんなの顔には喜びが浮んでいたが、わたしには、その原因がのみこめなかった。まもなくわたしは、客の婦人が、いくつかのことばを家の人たちにならって何度もくりかえして発音しているので、婦人がこの国のことばをおぼえこもうと努力しているのだ、ということがわかった。そこで、わたしにも、同じ目的のために、同じ教わり方をしてやろう、という考えが、たちまち起った。婦人は最初、二十ばかりのことばを教わってそれをおぼえた。その大部分はたしかに、前からわたしにも解ってはいたが、そのほかのものについても得るところがあった。
「夜になると、アガータとアラビア人は早く寝室へ引き取った。わかれるときフェリクスは、その婦人の手に接吻して言った、『おやすみ、サフィー。』フェリクスはずっと後まで起きていて、父親と話していたが、その名まえを幾度となくくりかえしたので、あの美しい客人のことが話題になっているのだということが察しられた。わたしはその話をなんとかして理解したいと考えたが、それはてんで不可解だということがわかった。
「翌朝、フェリクスは仕事に出かけた。それから、アガータがいつ
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