この人たちのほかには、人はあまり見かけず、誰かほかの者がたまたま家に入って来ることがあっても、その連中の粗野な態度や荒々しい歩きぶりは、この家の人たちのりっぱな態度をきわだたせるだけのことであった。老人がしばしば子どもたちを励まし、ときどき老人が呼ぶときにわかったことだが、憂欝を振り払わせようと努力していることは、わたしにも読み取れた。老人は、わたしさえ嬉しくなるような善良さを現わして、快活な口調で話をした。アガータは尊敬の念をこめてそれを聞き、その眼には涙が溢れることもあったが、そんなときはそれをそっと拭き取るようにしていた。しかし、だいたいにおいて、父親に言って聞かされたあとでは、その顔いろや声の調子がずっと快活になるのがわかった。フェリクスのばあいは、そうではなかった。いつでも家族のなかでいちばん悲しそうにしており、わたしの未熟な感じから言ってさえも、ほかの者より深く悩んでいるように見えた。しかし、顔いろのほうはもっと悲しげであったとしても、声は、老人に話しかける時には、妹の声より快活であった。
「ちょっとしたことではあるが、この愛すべき人たちの気性を示す実例を、いくらでも挙げる
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