る名まえがわかってきた。たとえは火[#「火」に傍点]、牛乳[#「牛乳」に傍点]、パン[#「パン」に傍点]、薪[#「薪」に傍点]などということばをおぼえ、使ってみた。それから、この家の人たちの名もおぼえた。若い連中の名まえはいくつもあったが、老人はお父さんというたった一つの名まえで呼ばれた。娘は妹[#「妹」に傍点]とかアガータ[#「アガータ」に傍点]、若い男はフェリクス[#「フェリクス」に傍点]、兄さん[#「兄さん」に傍点]、せがれ[#「せがれ」に傍点]などと呼ばれた。こういった声音に当てはまる観念を知り、それを発音できるようになったときに感じた歓びは、とても言い表わせない。まだ、理解したり使用したりするところまではいかなかつたが、良い[#「良い」に傍点]、かわいい[#「かわいい」に傍点]、不しあわせ[#「不しあわせ」に傍点]というような、そのほかのいろいろのことばも区別できるようになった。
「冬はこんなふうにして過ごした。家の人たちのやさしい態度と美しさは、わたしに、この人たちを大いに慕う気もちを起させ、この人たちが不幸のときにはがっかりし、この人たちの喜ぶときにはその喜びに同感した。
前へ 次へ
全393ページ中184ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
シェリー メアリー・ウォルストンクラフト の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング