ことができる。貧窮と欠乏のさなかにありながら、フェリクスは、雪のつもった地面から首を出した最初の白い花を、喜んで妹に持ってきてやった。朝早く、妹の起きる前に、牛小屋へ行く道をふさいだ雪を掻きのけたり、井戸から水を汲んできたり、納屋から薪を運んできたりしたが、その納屋のなかには、眼に見えない手でいつも補充される薪の貯えがあるのを見て、しじゅう驚くのだった。日中はときどき、近所の百姓家の仕事をすると見え、よく出かけて夕食まで帰らず、薪を持って来なかった。また、ときには、菜園で働いたが、霜のおく季節にはすることとてもあまりなかったので、老人とアガータに本を読んでやった。
「この、本を読むということが、最初は、わたしにはどうしてもわけがわからなかったが、そのうちに、だんだん、読んでいるさいに、話をする時と同じことをいろいろと喋ることがわかった。だから、わたしは、フェリクスのわかることばのしるしが紙の上にあるのだろうと推測し、しきりにそれを理解したいと考えたが、ことばのしるしどころか、かんじんのことばの音さえわからないのに、どうしてそんなことができよう。けれども、この知識は眼に見えて進歩したとは
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