、まもなく盲だということがわかったが、楽器を手にしたり考えことをしたりしてひまをつぶした。若い人たちの老人に対して示した愛情と尊敬にまさるものはなかった。二人がやさしく愛情と義務からのあらゆるこまごました世話をすると、老人はそれに慈悲ぶかい笑顔で答えるのであった。
「みんながまったく幸福なのではなかった。若い男と娘は、たびたび、出て行っては泣いた。わたしにはその不幸の原因はわからなかったものの、それには深く心を動かされた。こんな愛らしい人たちがみじめであるとすれば、できそこないでひとりぼっちの存在である私が不幸なのは、ちっともふしぎでなかった。それにしても、このやさしい人たちがなぜ不しあわせなのだろう。楽しい家(わたしの眼から見れば)やあらゆるぜいたくなものをもち、冷える時にあたたまる火や、空腹な時に口にするおいしい食物をもっていて、りっぱな着物を着、そのうえにおたがい仲間があって話しあい、毎日愛情と親切のまなざしをかわしているのだ。この人たちの涙は、いったい何を意味するのか。ほんとうに苦しみを表わしているのだろうか。はじめのうちは、こういう疑問を解くことができなかったが、たえず注意し
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