、今度は若者が、老人の楽器の和音にも小鳥の歌にも似ない単調な音を、弾かずに出しはじめた。あとになってからそれは、大きな声で本を読んだのだということがわかったが、そのときにはまだ、ことばや文字の学問のことを何も知らなかったのだ。
「三人はしばらくこういうことをやったあとで、燈を消して引っ込んだが、わたしの推察では、それは休むためであった。
12[#「12」は縦中横] フェリクスの家族
「藁の上に寝たが眠れなかったので、その日に起ったことを考えてみた。わたしを主として打ったのはこの人たちのやさしい態度であって、そのなかに加わりたいとおもったが、それもできかねた。前の晩に野蛮な村人から受けた仕打ちをあまりによくおぼえているので、これからさきどういう行為を正しいと考えてするにしても、とにかく今のところ努力しようと決心した。
「家の人たちは、翌朝、日の出前に起きた。娘が家のなかを取りかたずけてから食事のしたくをし、最初の食事が終ってから若い男が出ていった。
「この日は前の日と同じような日課で過ぎ去った。若い男はたえず外で仕事をし、娘は中でさまざまなほねのおれる仕事をした。老人は
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