はそのあいだ、もの思いに沈んでいたが、二人の姿を見ると、もっと元気な様子を見せ、みんなで食事にかかった。食事はたちまちのうちにすんでしまった。娘は家のなかをせっせと取りかたずけ、老人は若者の腕によりかかって、家の前の陽のあたるところを三、四分歩きまわった。この二人のすぐれた人間の対照にまさる美しいものはあるはずがなかった。一人は、年老いて、銀髪の、慈愛に輝く顔をしていたし、若者のほうはすらりとした優柔な姿で、顔立ちもじつに美しい均斉を保っていたが、ただその眼と態度は、極度の憂愁と意気沮喪を表わしていた。老人は家に戻り、若者は、朝使っていたものと違う道具をもって畠をよこぎって行った。
「じき、夜になったが、この百姓家の人たちが細長い蝋燭を使って光を延長する手段をこころえているのを知って、わたしはひどく驚嘆した。そして、陽が沈んでも、わが隣人たちを見守ることで味わった歓びが終りにならないことがわかって、嬉しかった。その晩、若い娘と男は、私にはなんのことかわからないさまざまな仕事に精を出し、老人は楽器をまた取りあげて、今朝わたしをひきつけたあのたまらなくよい音を出した。老人がそれを終るとすぐ
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