ていません。イタリイから来たのです。おかあさんをたずねに一人できたのです。貧乏な子供です。どうぞ、何もしないで下さい。」
といいました。
 三人の男は彼をかわいそうに思ってマルコの頭をなでながらいろいろ言葉をかけ一枚のシオルをマルコの体にまいて、眠られるようにしてくれました。その時はもう広い野には夕日がおちていました。
 汽車がコルドバにつくと三人の男はマルコをおこしました。
 マルコは飛びたつように汽車から飛び出しました。彼は停車場の人にメキネズの家はどこにあるかききました。その人はある教会の名をいいました。家はそのそばにあるのでした。マルコは急いで出かけました。
 町はもう夜でした。
 マルコはやっと教会を見つけ出して、ふるえる手でベルをならしました。すると年取った女の人が手にあかりを持って出てきました。
「何か用がありますか」
「メキネズさんはいますか。」
 マルコは早口にいいました。
 女の人は両手をくんで頭をふりながら答えました。
「メキネズさんはツークーマンへゆかれた。」
 マルコはがっかりしてしまいました、そしてふるえるような声で、
「そこはどこです。どのくらいはなれてい
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