土民生活
石川三四郎

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)希臘《ギリシヤ》語辞典を

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今より丁度八年前、私が初めて旧友エドワアド・カアペンタア翁を英国シエフイールドの片田舎、ミルソープの山家に訪ふた時私は翁の詩集『トワアド・デモクラシイ』に就いて翁と語つたことがある。そして其書名「デモクラシイ」の語が余りに俗悪にして本書の内容と些しも共鳴せぬのみならず、吾等の詩情にシヨツクを与ふること甚しきを訴へた。スルと其時、カ翁は「多くの友人から其批評を聞きます」と言ひながら、書架より希臘《ギリシヤ》語辞典を引き出して其「デモス」の語を説明して呉れた。其説明によるとデモスとは土地につける民衆といふことで、決して今日普通に用ゐらるゝ様な意味は無かつた。今日の所謂「デモクラシイ」は亜米利加《アメリカ》人によりて悪用された用語で本来の意味は喪はれて居る。ソコで私は今、此「デモス」の語を「土民」と訳し、「クラシイ」の語を「生活」と訳して、此論文の標題とした。即ち土
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