ヒウザン会とパンの会
高村光太郎
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)旧套墨守《きゅうとうぼくしゅ》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)談|偶々《たまたま》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)琅※[#「王+干」、第3水準1−87−83]洞
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私が永年の欧洲留学を終えて帰朝したのは、たしか一九一〇年であった。
当時、わが洋画界は白馬会の全盛時代であって、白馬会に非ざるものは人に非ずの概があった。しかし、旧套墨守《きゅうとうぼくしゅ》のそうしたアカデミックな風潮に対抗して、当時徐々に新気運は動きつつあった。その頃、有島生馬、南薫造の諸氏も欧洲から帰朝したばかりで烈々たる革新の意気に燃えていた。
私が神田の小川町に琅※[#「王+干」、第3水準1−87−83]洞《ろうかんどう》と言うギャラリーを開いたのもその頃のことで、家賃は三十円位、緑色の鮮かな壁紙を貼《は》り、洋画や彫刻や工芸品を陳列したのであるが、一種の権威を持って、陳列品は
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