、後者においてブルーノー、ガリレオにあたえた圧迫に出版界が屈したことによって、国運がいかに異なってきたかを思わなければならない。この差が、今眼前に、その子孫に、どんなに苦しみをあたえているかを見るべきである。
あんなに盛んであったローマが、どうして一見物人を引きつける都と化しているかを思うとき、子を持つ日本人は、今、深く思いをここによせるべきである。
あの世界の文化が立上ったフランスの『百科辞典』に向って出版界の資本が立向ったあの輝かしい記録を、今私達はまぶしい思いをもって思いかえす。
勿論、資材、印刷の条件は、敗戦のいたでの中に、未だ傷痕をいやしてはいない。しかし、問題は、民族のこころの中にある古い黒い血潮が、新しいものをフツフツとして取入れて、鮮かなるものに新しく再成することである。昭和のルネッサンスは、この現実の事実からこそ生まれるのである。
一つ一つの店頭に立つ若い人々、図書館人が、遠い波のうねりのように、中央に向ってその声を送ることで、また中央の血も新たになるのである。
私は、この、日に新たなる気迫が、この『出版ニュース』の連なりの中に新たなる年と共にほとばしり出る
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