いていることへの驚きが横たわっている。この法則を発見し伝えてゆく役割をもつ職業的階級が知識人である。
法則が客観的存在のみならず、人間と人間の関係にもあるらしい事に気づき、ここに法律を創る事が、専門的任務となってきたのである。しかし法律は支配するものの様相で変ってゆくし、変えることも出来る。落下の法則のように簡単でなく、それをつくるものも真の民主主義国家の出現するまでは、使役さるるものとしての知識人がつくっていたのである。民衆がむしろ実験台となったのである。使役さるる知識人は、奴隷であり、禄を喰むものであり、給料をもらうものである。かくて、非民主主義時代の知識人は隷属的地位であるとともに、支配者によって、客観的真実及び大衆的幸福が拒否さるる可能性があるのである。この拒否に面して、前に見る四つの遊離の様相をもたらしているといえるであろう。
第二には知識の問題それ自身に横たわっている条件がある。これまでの哲学的態度が一つの方法論になっていた。すなわち知識が観察の上に成立し、その観察している態度を更に観察することを要するという構造をもっている。これは行動そのものから、自己を除外して、意識
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