しいことである。必ず大切なことは、他のことばでいいなおして、二度ずついってやると、はじめてうなずいてついて来るのである。そしてそれに、必ず具体的な例を、実例をあげてやると、更にうなずくのである。この「例」は、彼等の身辺のものでなければならない。熟知した、しかも荒い構造の簡単な仕組みのものでなければならない。そして大切なことは、この「例」がどんなに例そのものが勝手に独り歩きして、頭の中で発展していっても、その本論の筋をでんぐり返して、とんでもない反対のところにまで連想しないように、考えに考えぬいて仕組まれなければならないことである。
講演がすんで彼等が、野畑でそのテーマを反スウする時、うかんで来るのはまず具体的な例なのである。だから「例」が勝手な反対な連想にまで導くと、議論はメチャクチャなところまで勝手に発展して、後で講演者は二、三カ月後で、痛烈な見事な反対の質問を浴びることとなるのである。そして、更にこの語らんとするテーマに、一つの憶えやすい「標語化された言語」をしめくくりとしてあたえることである。人口にカイシャする流行語となるようなユーモアに富んだことばを創造すべきである。そして更
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