大会を終りて
中井正一

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【テキスト中に現れる記号について】

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(例)[#地付き]*『図書館雑誌』一九五〇年六月号
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 今度の大会を顧みて、私たちは図書館なるものの概念が、一九五〇年にふさわしく、新たなる意味を、日本においてもおのずから新たにつくられつつあることを、確然と見ずにいられない。
 日本全国より結集せる五百人に余る若々しき図書館人が、近代的会議の技術を美事に駆使しながら、正確に、熱意に満ちて討議を繰り返している姿は、参加せるすべての人々に新たなる感銘を呼び起こさずにいなかった。
 その量において、今次大会は、いまだかつて見ざる多数であった。また質において、またいまだかつて見ざる若々しさと、集団的訓練の成熟を身にそなえていた。
 このことが、会自体を、国際的交渉をもつ一九五〇年にふさわしい新たなる雰囲気の中に包ましめたのである。図書館大会そのものを発展せる他のものとして、創造せしめたのである。
 かつての図書館大会は、年一回の懇親的会合の気分もあって、大会そのものおよびその部会は、そのかもす空気において、談笑裡に
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