色彩映画のシナリオ
中井正一
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私はフィルムが色彩を駆使するにあたって、それを「天然色映画」と名づけているのに、反対である。すでに映画が芸術であるかぎり、映画は、必ずしも天然の色と称するもののみに似ることをのみ標準とする名前をつける必要はないのである。
それは、むしろ簡単に「色彩映画」とよばれるべきであり、シナリオ・ライターは、そのシナリオで作者の意図にしたがって、おちついたソフト・トーンの色、またはコントラストの強いアクセントの色、あるいは、茶またはセピア色のトーン、または、一様に淡い色のタッチなどを注文することが、将来可能であり、その用意のための最初の命名が望ましいのである。
色彩映画が始まるや、シナリオ・ライターは、一つの大きな幻想の新しい世界が切り開けたと同時に、一つの色彩の作曲的な構想が必要となってきたのである。
ちょうど詩の韻律が、語音のリフレインの繰り返しであって、一つの芸術感がもたらされるように、色がその役割
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