二 そのヴァリエーションへの注意。
三 全体を見透しての、盛りあげに用いられるところの色彩の用意。
四 全色彩トーンを何に置くべきか。
  さらに、いかに配置すべきか。
  例えば、海の主題を取りあげてそれを貫いてみるごときそれ。あるいは、全体を、淡くするかまたはコントラストを強くするべきか。
五 シナリオの筋と、色との配合、同調すべき場合と、むしろコントラストを強くする場合。
六 シナリオでは説明となり、ダレるところを、色彩のリズムで救うという新たな救済策のあらわれたこと。
七 季感のもつ芸術的役割りがますます重大となってきたこと。
[#ここで字下げ終わり]
 かく考えてくると、ちょうど、トーキーとなった時、シナリオ・ライターがとまどったと同じような自由のもつ一つの彷徨が、色彩映画になった時、シナリオ・ライターをもっているように思われる。そこで色彩への日常の敏感な観察と訓練が、ライターに要請されてくることとなると思われる。ここに新たなる有能な色彩映画のシナリオ・ライターが、斯界に躍りいでられんことを、ひそかにまつものである。
[#地付き]*『シナリオ』一九五一年四月号



底本:「中井正一全集 第三巻 現代芸術の空間」美術出版社
   1981(昭和56)年5月25日新装第1刷
初出:「シナリオ」
   1951(昭和26)年4月号
入力:鈴木厚司
校正:宮元淳一
2005年3月25日作成
青空文庫作成ファイル:
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