の機能として動き、文化機構の中心的役割をもって来ることとなるであろう。四万五千と想定される学校図書館とそれが組合うことで、文化網としての組織となるであろう。それは本の購買対象としても意味をもってくる。
出版界とわが合理的協同体となるならば将来、「良書は必ず一千部は出る」という一つの基本型の文化血管を構成することができる日は遠くはあるまい。
小さい願いではあるが、この願いが実現する日がほんとうに、日本の出版界が大胆に企画をし、著者が安心して大研究に身を委ね、新鮮な文化の血が、日本民族の中を音をたてて流れはじめるときである。文化法案は、砂の上に指で一本の線を引くような細いものであっても、その砂の上をもしチョロチョロ水が流れはじめたら、その水はその砂を少しずつ流して行って、やがてゴーゴーと一つの流れとなって、その溝を自ら掘りひろげつつ大いなる大河としないとはいえないのである。
私はこの法案を決して小さな法案とは、その意味で思ってはいないのである。
底本:「論理とその実践――組織論から図書館像へ――」てんびん社
1972(昭和47)年11月20日第1刷発行
1976(昭
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