図書館法と出版界
中井正一

 終戦後、アメリカが図書館界に示した関心はまことに深いものがあった。その一つは国立国会図書館の設立であり、その二は図書館法の制定であり、その三は、図書館学校のためにアメリカの費用でアメリカ教師を遣わしたことである。
 図書館法は、昭和二十一年キニー氏の準備委員会に端を発し、ネルソン、バーネット、フェアウェザー等々のメンバーが自分の事のように世話をやいていたのであった。しかも我館界の理想はまことに高く、つまらない法案なら通すなという勢いであった。ところが、ショープ、ドッジ両案で形勢は刻々悪くなって行った。
 二十四年度に握りつぶしになったこの法案はついに、最悪の条件のもとに、二十五年度を迎えたのである。理事長の責務にあった私は、この二十五年度に提出の機を失したならば、永遠にその時を失うかもしれないと見たのであった。そこで、まず予算措置のない法案はいらないという館界の意見を伏せるべく、私は「法案の流線型化」(なるべく大蔵省、閣議、両院の抵抗を少なくするという意味で、ついには砲弾型とさえ、たわむれにそれを呼んでいた)をはかったのである。
 しかし、最後の線として
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