図書館法ついに通過せり
中井正一

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【テキスト中に現れる記号について】

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「口+喜」、第3水準1−15−18]
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 この数年間、わが図書館界は、この法のために、実に多くの討論をし、実に多くの交渉をし、海を越え山を越えて、ここに辿り来ったのである。
 勿論われわれは、未だ多くの夢をもっている。しかし、かかるかたちにおいて、一つの橋頭堡を、われらの永い文化の闘いにおいて、かちえたことは、現段階の酷薄な情勢のなかにあっては、一つの前進であり、記念すべき、勝利への第一歩であるというべきである。
 法案通過のためにたたかった諸兄と共に深い感慨をもって、お互いに手を握りあいたい。
 しかし、法が示すように、財政的措置としては、私達の力をもって、運動を貫いて立ち上るほかない。この法は、その運動を全面的に展開せよとの最初の狼火の役割をもっているのである。
 法案が通過したその最初の瞬間こそが最も大切な時である。すべての図書館の関係者は外部に向って、
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